データ取得日 | 2012年11月1日 |
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取得対象期間 | 2010年11月1日以降2012年10月31日以前のデータ |
アセスメント件数 | 5994件(2619人分) |
算出に用いた利用者数※ | 1975人(算出不可:644人) |
事業所数 | 15 |
介護支援専門員数 | 108人 |
※算出には、2012年1月~10月の間に介護保険の給付が発生した利用者のデータのみを用いた
事業所 | 利用者数 | 性別 (女性%) |
平均年齢 | 要介護度4, 5 の割合(%) |
ADL最大援助 の割合(%) ※1 |
うつの疑い の割合(%) ※2 |
認知機能 重度障害 の割合(%)※3 |
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事業所① | 336 | 61.5 | 80.6 | 37.1 | 15.8 | 6.3 | 7.3 |
事業所② | 121 | 62.3 | 79.1 | 26.4 | 15.8 | 8.4 | 12.6 |
事業所③ | 247 | 52.9 | 78.6 | 31.6 | 15.1 | 18.8 | 9.0 |
事業所④ | 219 | 50.5 | 77.9 | 35.2 | 23.1 | 5.2 | 10.7 |
事業所⑤ | 203 | 66.0 | 80.6 | 13.3 | 8.5 | 15.1 | 6.5 |
事業所⑥ | 152 | 62.5 | 80.8 | 26.3 | 16.7 | 16.4 | 11.3 |
事業所⑦ | 150 | 64.0 | 82.3 | 29.3 | 13.8 | 6.8 | 7.6 |
事業所⑧ | 132 | 72.1 | 83.2 | 24.4 | 11.8 | 15.0 | 7.0 |
事業所⑨ | 77 | 70.1 | 82.8 | 25.3 | 18.2 | 10.7 | 14.3 |
事業所⑩ | 64 | 59.4 | 80.8 | 25.4 | 11.1 | 12.5 | 7.8 |
事業所⑪ | 62 | 58.1 | 79.9 | 23.3 | 13.8 | 20.0 | 3.3 |
事業所⑫ | 49 | 71.4 | 81.2 | 25.0 | 8.2 | 19.1 | 6.1 |
事業所⑬ | 49 | 73.3 | 81.6 | 32.7 | 14.6 | 2.1 | 4.2 |
事業所⑭ | 53 | 67.9 | 78.8 | 15.1 | 10.2 | 7.8 | 8.0 |
事業所⑮ | 61 | 60.7 | 79.6 | 30.0 | 21.3 | 10.0 | 14.8 |
合計 | 1975 | 61.5 | 80.3 | 28.3 | 15.1 | 11.3 | 8.8 |
データ取得期間中に2回以上アセスメントがあった利用者1720名のうち、データ取得日からの直近アセスメントと、その1回前のアセスメントの間隔が6か月以内であった利用者は968名(56.3%)、7~12か月以内では600名(34.9%)でした(図4)。
HC-QIの正式な算出には、居宅介護支援事業者の全利用者に対しフルアセスメントを実施する必要がありますが、すべての事業者で12か月以内のアセスメント入力割合は8割を超えており、6か月以内のアセスメント割合も、1事業所を除いてすべて5割を超えていました。
22のHC-QI領域に関し、事業所ごとに、実測値、予測値、補正値(HC-QI値)を算出し、グラフを作成しました(図6)。実測値とは、「ケアの質として問題があると考えられる状態」に該当した利用者の割合、予測値とは、「このような利用者のいる事業所であれば、統計的にみて『ケアの質に問題があると考えられる状態の利用者はこのくらいだろう』」という数値、補正値とは、「実測値と予測値の差に実測値の全体平均を加えた数値、です。
「全体平均」で示した通り、各HC-QI値の平均値にはばらつきがあり、異なるHC-QIの間で比較することができません。そこでHC-QI値を標準化し、事業所ごとにレーダーチャートを作成して、事業所の得意な領域・不得意な領域を可視化しました。
各ケアマネの担当利用者のリストに、HC-QIの分子に該当した(例えば転倒した)利用者の予測値(例えばどのくらい転倒する可能性が高かったか)を提示しました(表4)。この表により、予測値が低かったにもかかわらず分子に該当していた利用者を特定することが可能となりました。
ケアプランの見直しに関し、具体的な確認事項や改善策が挙げられた。回答の一部を表5に示した。
QI項目 | 確認の結果 | 考えられる改善策 | 活用 |
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事故 | 疾病の増加によりADLの低下あり、本人家族援助者らの共通理解あり。 | 援助者の介助で事故のリスク軽減を提案、検討中だった。数字を本人・家族に提示し、より理解を深め、自覚してもらうことで事故のリスクの軽減に努める。 | リスク対応・説明のエビデンス |
重度の痛み | 昨年、変形性腰椎症の腰痛のため通所サービスが、利用出来ない期間あり。独居で認知症状の悪化もあるため、家族の対応の負担も大きくなっている。 | 痛みは、現在落ち着いているが医療との連携を密にし、家族の介護負担を軽減するサービス導入の提案を行っていく。 | 在宅・連携 |
コミュニケーション障害の悪化 | 認知機能の低下により短時間に同じ事を繰り返し話し、以前に比べて内容が短かくなっている。長期間ショートステイを利用している為、コミュニケーションを行なう機会が減っている可能性がある。 | 施設内で、コミュニケーションする機会を増やすことができるか施設相談員と話し合う。 | 施設・連携 |
認知障害の悪化 | 寝たきりで意識障害があり、認知症とは違うため、特に詳細な検討は行っていなかった。 | CAPの「認知」を改めて確認した所、家族支援の必要性を感じた。ADL全介助で、家族の介護負担をとらえていたが、認知領域からもその必要性を認識できた。 | 再検討 |
尿失禁の悪化 | 現在、尿失禁はないが万一のためにパットを使用しているので項目にあがったのではないか。 | 将来を予測して出た項目なので、再アセスメントを行い、丁寧なモニタリングや声かけをして予防に努めていきたい。 | モニタリング |
補助具の不使用 | 自宅内は安定した歩行で、補助具の使用は必要無いと思っていた。認知症で、外出時は必ず家族が付き添っているため補助具の必要性も感じてはいなかった。 |
本人はリハビリにとても意欲的で、リハビリ目的のデイサービスと訪問看護を利用している。両者にもアセスメントしてもらい、外出時の補助具が必要か改めて検討していきたい。 | 見直し |
介護支援専門員の71.1%がHC-QIによるケアプラン検討が役立つと回答し、どちらでもない19.7%、役立たない9.2%だった。役立った内容(複数回答)は「現在の課題や問題状況を把握すること」(32人)「利用者の状態変化を知るきっかけとなる」(28人)「ケアプランの具体的な見直しや変更につながる」(24人)「アセスメントのミスに気づく」(20人)などだった(図7)。