介護保険開始当初に、どのアセスメントシステムを利用するべきかを検討しました。医療施設ということもあり、多職種が協働してケアプランを作成できることに魅力を感じMDS-HCを利用することにしました。
導入当初は患者様が退院する前にアセスメントするという仕組みを作り、病棟の看護師の協力を得ながら、そのアセスメントをもとにケアプランを作成していました。しかし、在院日数が短縮化されている事もあり、この方法ではどうしても自宅の環境や状況をうまく捕らえる事が難しいと感じていました。現在は退院後できるだけ早く訪問してアセスメントし、退院時に MSWと共に立てたプランで良かったかを確認しています。
また在宅の利用者様に関しても、出来るだけ早い時期に訪問してアセスメントし、サービス導入に結びつけています。
勉強会を定期的に行ったり、実際にアセスメントを行いケアプランを立てケアマネ同士で検討し合いました。定期アセスメントは定着してきていますが、現在でも勉強会や事例検討などを定期的に行っています。
アセスメント項目に沿って的確にチェックが出来れば、職種に関係なく同じ視点で見ることが出来、問題点が自動的に検出されるので見落としが少なくなります。又、なぜこのサービスが必要か、不必要なのかという事を説明する時でも、視点やケアのヒントも整理されているので、利用者様に説明もしやすいと思います。
介護保険開始時からMDS-HCのアセスメント用紙を利用しているので、情報収集はそれぞれのケアマネが工夫し行えるようになっています。しかし、それでもきちんとCAPsを検討出来ていない事があります。CAPの読み込みをしながら事例を通じて検討していくことを継続していく必要があると思っています。
介護保険開始前から、訪問看護ステーションの職員がMDS学会に加入しており、訪問看護ステーションでの利用者アセスメントにMDSの活用を始めていました。介護保険開始時にいくつかのアセスメントツールが出された時も、医療・福祉職が混在するケアマネジャーという仕事に、多職種協働のアセスメントツールとしてMDSがもっとも適していると考え、導入を決めました。
年1回、全事業所合同でMDS-HCを活用するための研修会を行っています。また、各事業所では、事例を使った研修の機会として「ケアプラン検討会」を月1回程度で行って、CAPsを活用しながらアセスメントを行いケアプランに反映できるようにしています。
様々な基礎資格や経験をベースとして持っているケアマネジャーという専門職には、共通言語が必要です。MDSを用いると、共通のアセスメント表から選定した領域について、CAPsを用いて更に詳細な分析を行うので、共通認識のもとでの根拠のあるアセスメントやケアプランの作成を行うことができると考えています。更に、CAPsを理解・活用することで、職種によって得意・不得意な領域があるケアマネジャー個人のアセスメント力を高めていくこともできると考えています。
MDSに関する研修を行ってはいますが、日々の業務の中で、CAPsを深く理解した上で、アセスメントをきちんと行う、ということがまだまだ足りていないように感じています。また、各事業所で、ケアマネそれぞれがMDSを活用していったり、新人への研修などを行うことができるように、MDSについて指導的な役割を行えるケアマネジャーを育成していくことも必要であると感じています。
事業所開設以来試行をくり返した後、独自のアセスメントシートを利用していましたが、2009年頃になって、経験豊富なケアマネジャーとそうでないケアマネジャーのアセスメントやケアプランの差が気になり始めました。MDSは項目が多く大変だという印象はあったものの、初心者でも見落としなくアセスメントを行うことができることに魅力を感じ、会社として導入することに決めました。
導入時には、6つの事業所からリーダーを1名ずつ選出し、各事業所でどう取り組んでいくかの目標を定めました。また、それまでのアセスメントも生かせるように、まずは更新時や新 規の方や、アセスメントで見落としがありそうな利用者に絞って始めました。現在では、毎週金曜日の午前中を「MDSの日」と定め、業務としてMDSを学ぶ時間を設け、アセスメントを定着させる工夫をしています。
MDSの導入は、ケアマネジャーの「気づき」を養う取り組みになっています。時間やコストがかかるのは確かですが、ひとつひとつ取り組むことで得られる「気づき」はケアマネジャーの大きな財産となると思います。また、アセスメントデータを用いた質の評価という、コストに対する「おまけ」もある、というのも大きな利点の一つです。
ケアマネジャーたちが、情報を集めることに慣れ、項目が頭に入ってアセスメントがスムーズに進むようになっていますが、多くのケアマネジャーにとって、「課題検討用紙を活用する」ことが課題となっています。収集した情報をどう検討用紙に落とすかについて、前述のMDSの日などでケアマネジャー同士で情報共有をして取り組んでいます。
介護保険開始当初よりアセスメントはMDSという方針でしたが、実際の運用になるとケアマネやパムコ独自のアセスメント方式等がばらばらに使われていました。HC-QI研究事業に参加し、勉強会などに参加したことで、ケアマネジャー全員がMDSを積極的に勉強したいと思うようになり、アセスメントをMDSで統一し、本格的に導入しました。
平成22年度にはMDS勉強会を当社で2回開催しました。新規、更新に合わせ1年目は利用者全員のアセスメント表の入力とCAP選定表を作成することに重きを置き、2年目は主任ケアマネが主導し「選定表から検討 用紙への導き方」について社内勉強会を行いました。現在は毎月ケアマネミーティングで「根拠あるケアプラン作成」が出来ているかどうかの事例検討を重ねています。
MDSをより深く知ることで、以下のような利点があることを感じています。
① アセスメントの視点と内容が整理され、利用者を良く知る事が出来る。
② 誰もがアセスメントを正確にチェックすることにより課題が客観的に選定される。
③ ケアプランの根拠が明らかになり、安心してケアプランが作成できる。
④ アセスメントデータから得られた評価を元にケアの質を上げる取り組みが可能。
研究事業に参加したことで、アセスメント表の正確なチェックがいかに大切であるかを再度認識しました。新しいインターライ方式に改定されるこの機会に、基本に立ち戻って、正確で漏れの無いアセスメントを行い、正しいCAPs選定が出来る姿を築くことが現在の課題となっています。
平成22 年に各事業所の管理ソフトを統一する必要性を感じ、一番使いやすいものを、ということで今のシステムを導入し、同時にMDSでのアセスメントを開始しました。アセスメントからケアプラン作成に至る経緯が明確で、個人差のないプラン作りが可能な点に魅力を感じ、導入以降のすべての新規利用者に対して、MDSによるアセスメントを行っています。
定期的に勉強会を開いてCAPs の項目の読み合わせを行うなど、MDSの理解を深める努力をしています。また、研究事業に参加していることにより、定期的に研修会が行われ、その内容を全事業所で共有することで、よりよくMDSを活用できています。
アセスメントから問題を導き出すための最低限の事項が網羅されていることが大きな利点だと思います。たとえば、終末期のことや経済面のことは聞きにくいため、比較的質問を避けたいケアマネも多く、もしMDSの項目がなかったら、問題があっても気づかずに通り過ぎてしまうかもしれません。問題を抽出するためのアセスメントツールとして、大きな利点だと思います。
アセスメント項目の中には、項目を読んだだけでは、利用者の方には意味が伝わりづらいものがあります。聞き方のコツを知らない新人への教育では、いかに噛み砕いて質問するか、にも焦点を当てています。アセスメント時には項目を埋めるだけでなく、できるだけ多くの情報をアセスメント表に書き込み、事務所に戻ってから整理する、ということを行っています。