「インターライ方式」の特徴 | インターライ日本

「インターライ方式」の特徴

インターライ方式は、国際的な研究組織であるinterRAIによって、それまでのMDS方式のすべての版を再構築するかたちで、2009年に開発されたアセスメント方式である。再構築の対象となったのは、施設(Long Term Care Facility, LTCF)版(MDS2.1)と在宅(Home Care, HC)版(MDS-HC2.0)だけではなく、今まで日本に紹介されていなかった高齢者住宅(Assisted Living, AL)版等もあった。

「インターライ方式」の構成と使い方

MDS/インターライ方式は、利用者の状態を把握するための「アセスメント表」と、アセスメントで捉えた問題を検討するための指針が書かれた「CAP(Clinical Assessment Protocol、ケア指針)」から構成されている。

ケアプランを立てるとき、まずアセスメント表を用いて評価を行なう。この項目の多く(これをトリガー項目という)は、たとえば褥瘡、せん妄、転倒など、特定の問題や機能低下のリスクがある利用者を選定する。これに従って該当の「CAP」項目へ進むと、「この利用者のニーズ・状態に応じた適切なケアは何か?」を特定するための指針が書かれている。このようにインターライ方式では、アセスメントとケア指針の2段階で、ケアプランを立てる(逆に、リスクが高いと想定されるCAP項目から、指示されたアセスメント項目へと遡って、リスクの有無を判定することもできる)。

特徴1 多面的かつ必要十分なアセスメント項目

「アセスメント表」は、1に示す領域により構成されている。

アセスメント項目は、利用者の機能、健康、社会支援、サービス利用などを包括的に把握するために、居宅・施設・高齢者住宅の各場面において、それぞれ最低限必要な項目が抽出されている。したがって、ある特定の領域に偏ることのないアセスメントが可能である。

表1 インターライ方式によるアセスメント領域


特徴2 明確な評価基準で結果の“ばらつき”が少ない

また、アセスメント表の「記入要綱」には、各アセスメント項目の定義と評価の基準が明確に記されており、実施者間・職種間のアセスメントの差をなくすように設計されている。

たとえば「ADL」は、実施者によってアセスメント結果にばらつきが大きい項目であるため、ばらつきを少なく、かつケアプランへの反映が可能になるように、支援の程度と頻度に基づく詳細な評価基準が設けられている。

 

特徴3 評価結果をケアプランに反映できる指針つき

「CAP(ケア指針)」の27領域(2)は、居宅・施設・高齢者住宅の各場面において、要支援・要介護高齢者にそれぞれ起こりやすい問題の領域である。各CAPには、それぞれの「問題状況が起こる背景や要因」「問題が悪化する危険性」「問題が改善する可能性」を検討するための指針や、ケアの方向に関する臨床的知見がまとめられている。これらを活用することにより、利用者の問題状況を客観的に分析し、ケアの指針を得ることが可能となる。

表2 インターライ方式のCAP(ケア指針)項目

特徴4 課題のあり処を浮き彫りにする「トリガー項目」

各CAPには、「トリガー(引き金)」と呼ばれるアセスメント項目(トリガー項目)が設定されている。アセスメント項目の大部分は何らかのCAPのトリガー項目となっており、これらの項目のアセスメント結果によって特定のCAPが“トリガー”される。

トリガーされた領域は、利用者が課題を抱えている領域であり、CAPに書かれた指針に沿って、課題の分析・検討を行ない、ケアプランに反映させる。トリガーは、蓄積されたアセスメントのデータベースを分析することによって同定されており、たとえば「ADL」のCAPは、追跡して改善ないし維持された利用者の特性に基づいて規定されている。

例として、3に「せん妄」のCAPのトリガー項目を示した。アセスメントによりこれらの項目に該当すると、せん妄のCAPが“トリガー”され、せん妄に関する利用者の課題を詳細に検討し、ケアプラン作成に活かすように工夫されている。

このCAPとトリガーの仕組みにより、27の問題領域に関して、全体をアセスメントしたうえで、該当領域についてより深い課題検討が可能となる。

 

表3 「せん妄」のCAPトリガー

※[    ]内はアセスメント表の項目記号とアセスメント結果を示している。たとえば[C3a=2]は、「C3.せん妄の兆候」をアセスメントする評価項目「C3a注意がそらされやすい」の結果が「2.(該当の)行動があり、普段の様子とは違う」であることを示し、この項目にチェックがついた利用者は「せん妄」が起こっている/起こりやすい状況にあるものと認識できる。また「せん妄」のおそれを感じるときは、このトリガー項目から指示されたアセスメント項目へと遡って評価を確認することもできる

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