はじめに
介護保険制度が発足して10年、その総括であるにおいて、厚生労働省は「地域包括ケアシステムの確立」が今後の課題に挙げられた。「地域包括ケア」は、さまざまな意味で使われる概念だが、狭義には「個々人の心身の状態に応じた“切れ目のない”医療や介護の提供体制」の地域単位での構築を意味する。
このような問題意識は、介護保険制度設立当初から認識されており、多職種協働やトータルケアマネジメントの重要性が叫ばれ、「介護支援専門員」(ケアマネジャー)が制度化される根拠ともなった。しかし、制度設立から10年が経って新たに「地域包括ケア」の確立が課題に挙げられたことは、職種間・サービス間の分断が十分に改善されていないという評価を反映していると言える。
「地域包括ケア」の実現に寄与するアセスメント方式
一方、現在介護施設や在宅などで広く用いられているMDS(Minimum Data Set)方式は、“切れ目のないケア”を提供するためのアセスメントとして最適である。その理由として、MDS方式は多職種による利用を前提に開発されており、施設版(MDS2.1)と在宅版(MDS-HC2.0)の基本アセスメント項目を同じにするなど、職種間・サービス間の連携を容易にする設計になっていることが挙げられる。
このたびMDS方式は内容が刷新され、「インターライ方式」と改称された。本稿では、切れ目のないケアを実現するうえで汎用性がいっそう高まったその特徴と、居宅ケアにおける活用の利点を紹介する。